こんにちは! 皆さんの愛車を元気に走らせるために欠かせない「スパークプラグ」について、その役割や交換のサイン、そして種類を詳しく解説します。
1. スパークプラグって、そもそも何?
スパークプラグは、ガソリンエンジンにとって最も重要な部品の一つです。
その主な役割は、エンジンの中でガソリンを燃やすための「きっかけ」をつくることです。
エンジンは、ガソリンと空気を混ぜた「混合気」を吸い込み、これをピストンで強く圧縮します。
その最も効率の良いタイミングで、スパークプラグがパチッと小さな火花を散らします。
この火花によってガソリンが一瞬で燃え上がり、車を動かすエネルギーが生まれます。
この火花がどれだけ強く、安定して散らされるかが、エンジンの性能を大きく左右します。
もしプラグが劣化して火花が弱くなると、ガソリンがうまく燃えず、エンジンのパワーが落ちたり、燃費が悪化したりする原因となります。
つまり、スパークプラグは、エンジンの中で燃料に火をつけ、その性能を支える、非常に大切な役割を担っている部品なのです。
2. なぜ交換が必要?

スパークプラグは、常に高温・高圧の過酷な環境にさらされており、使い続けるうちに少しずつ劣化していきます。
劣化すると、火花が弱くなったり、うまく火花が散らなくなったり、劣化したスパークプラグを使い続けると、以下のような問題が起こります。
① エンジンへの深刻なダメージ
最も大きなリスクは「不完全燃焼」です。火花が弱くなったプラグは、ガソリンを完全に燃やしきることができません。
燃え残ったガソリンは、エンジン内部にカーボン(すす)として蓄積し、エンジンの効率を落とします。
さらに、この燃え残りが排気システムにある高価な「触媒コンバーター」に流れ込むと、触媒が過熱して溶けたり、詰まったりする原因となり、交換には多額の費用がかかります。
② 点火装置への過度な負担
プラグの劣化が進むと、弱い火花を補うために、点火装置である「イグニッションコイル」に通常よりも高い電圧がかかり続けます。
この過度な負担が原因で、イグニッションコイルが故障してしまうことがあります。
イグニッションコイルが壊れると、エンジンがガタガタと振動したり、走行中に急に止まってしまう(エンスト)危険性も高まります。
③ 運転時の不快な症状
燃焼が不安定になると、エンジンの回転数が不安定になり、信号待ちなどでアイドリングが不安定になったり、最悪の場合、予期せぬエンストにつながることがあります。
また、燃費の悪化や加速の鈍さなど、日々の運転で不快に感じる症状も現れ始めます。
3. スパークプラグの種類
スパークプラグにはいくつか種類があり、それぞれ中心電極の素材が異なります。
この素材の違いが、プラグの性能や寿命に大きく影響します。
(1) ニッケル合金プラグ(標準プラグ)
最も古くから使われている、広く普及しているタイプです。
このプラグの最大のメリットは、何よりも価格が手頃なことです。
しかし、電極の摩耗が比較的早いため、長持ちしません。
一般的には1.5万〜2万kmごとの交換が推奨されており、燃費やエンジンの調子が悪くなる前にこまめな交換が必要となります。
Ex1. グリーンプラグ
グリーンプラグは、白金やイリジウムといった特別な素材で分類されるのではなく、一般的なニッケル合金プラグの一種です。
ただの一般プラグとは少し違い、中心電極の先端にV字型の溝が加工されているのが特徴です。
この小さなV字の溝のおかげで、火花がより安定して飛びやすくなります。
その結果、エンジンの始動時やアイドリング、加速時などの安定性が向上することが期待できます。
価格は一般プラグよりわずかに高いものの、白金やイリジウムプラグに比べると手頃です。
交換時期は、一般プラグと同様に1.5万〜2万kmごとが推奨されています。
(2) 白金(プラチナ)プラグ
中心電極に硬くて溶けにくい白金(プラチナ)を使ったプラグです。
白金は摩耗しにくいため、一般プラグと比べてはるかに長寿命です。
交換目安は8万〜10万kmと長く、頻繁に交換する手間が省けます。
初期費用は高くなりますが、その分、長期間にわたって安定した火花を飛ばし、エンジンの燃焼効率を維持してくれます。
(3) イリジウムプラグ
中心電極に非常に硬いイリジウム合金を使った、最も高性能なプラグです。
イリジウムは白金よりもさらに硬く、電極をより細く加工することができます。
この細い電極のおかげで、少ない電力でも強力な火花を安定して飛ばすことができ、エンジンの燃費改善やパワーアップが期待できます。
耐久性も非常に高く、10万km以上使えるものが多いため、最も長寿命なプラグと言えます。
Ex2. プレミアムRXプラグ
「プレミアムRXプラグ」は、日本のメーカーNGKスパークプラグが製造している、イリジウムプラグのさらに上位に位置する高性能プラグです。
単にイリジウム合金を使っているだけでなく、中心電極に世界で初めてルテニウムという新素材を配合し、外側電極には白金突き出し形状を採用するなど、複数の技術を組み合わせています。
「優れた着火性」「安定した性能」「圧倒的な長寿命」が特徴です。
4. 交換のタイミングと選び方のコツ
スパークプラグを選ぶ際は、単に「高性能だから」という理由だけで選ぶのではなく、いくつかの大切なポイントを考慮する必要があります。
① 純正指定の「熱価」を確認する
スパークプラグには、エンジンの熱をどれくらい逃がすかを示す「熱価」という数値が決められています。
この熱価は、車のメーカーがエンジンの性能に合わせて最適だと判断したものです。
もし指定された熱価と違うプラグを取り付けると、エンジンの調子が悪くなるだけでなく、プラグが異常に熱を持ってエンジンを傷つけてしまう危険性があります。
そのため、必ずお車の取扱説明書や現在取り付けられているプラグを確認し、同じ熱価のものを選ぶことが最も重要です。
② ネジのサイズやプラグの形状を合わせる
スパークプラグは、プラグコード(またはイグニッションコイル)と接続する部分の形状によって、主に3つのタイプに分けられます。
(1) 一体形
プラグコードを接続するターミナルがネジ式で取り外しできないタイプです。多くの車で採用されている最も一般的な形状です。このタイプは、プラグコードを奥まで差し込むだけでしっかりと固定されるため、交換作業が比較的簡単です。
(2) 分離形
ターミナルにネジ式でターミナルナットが取り付けられており、取り外しができるタイプです。このタイプは、車やバイクによって、ターミナルナットを付けたまま使うか、外して使うかが異なります。プラグコードの形状に合わせて調整できるため、様々な車種に対応できる汎用性を持っています。
(3) ネジ形
ターミナル部分がネジ山だけになっており、ターミナルナットが付いていないタイプです。主にバイクや特殊なプラグコードを使う一部の車種に採用されています。
プラグには、エンジンに取り付ける部分のネジの太さや長さ、そして電極の突き出し量など、車種によって決まった形状があります。
これらの形状が違うプラグを選んでしまうと、そもそもエンジンに取り付けられなかったり、最悪の場合、プラグの先端がピストンやバルブに当たってエンジンを壊してしまう恐れがありますので注意しましょう。