なぜ直バルブとLバルブがあるのか?
──商品化会議から生まれた素朴な疑問と、技術顧問とのやりとり
社内の商品開発会議での何気ないやりとりの中で、ある話題がふと出ました。
「スクーターの空気入れが入りにくいんだよね。そもそも直バルブとLバルブってなんで分かれてるんだろう?」
実は今、私たちは超小型タイプの電動空気入れを開発しています。
マッチ箱を少し大きくした程度のサイズで、持ち運びやすさと手軽さを重視したモデルです。
この開発の背景には、ありがたいことに現在好評をいただいている電動空気入れ「SAP2000」シリーズがメガヒットとなったことがあります。
「なぜSAP2000は“空気が速く入る”のか」——数値に表れない差とは
その技術・ノウハウを活かしながら、さらに携帯性を重視した“次の一手”として超小型モデルを企画中(極秘案件)なのです。
ただこの超小型モデル、自転車用としては問題ないのですが、スクーターの直バルブにはちょっと差し込みにくい……という課題がありました。
そこから「なぜ直バルブとLバルブがあるのか?」という素朴な疑問が生まれ、社内の技術顧問にヒアリングしてみた、というのが今回の流れです。
【技術的理由その1】
Lバルブの方がコストがかかる
L字の構造上、材料も加工も工程が増えるため、どうしてもコストアップになります。
一見小さな差ですが、数十・数百万台レベルでの量産を前提とした場合、この差は見逃せません。
【技術的理由その2】
エア漏れリスクがあるため
タイヤの回転により、Lバルブが遠心力で外側に引っ張られ、ゴム部に負担がかかる構造になっています。
この負荷が継続することで、エア漏れの原因になることがあるそうです。

完成車メーカーで開発経験のある技術顧問に確認したところ、あるメーカーでもLバルブは実際に漏れが多発した時期もあったということで、スピード域や経年劣化を考慮した結果、「直バルブ」がメーカーとしては安心と判断されているとのことでした。
ただ、一般的な速度域で走行する場合は影響はほとんどありません。
気付きと学び
ここまで細かい話は、オートアフターパーツの世界ではあまり語られることがないかもしれません。
でも、実際にメーカーの設計・量産現場では、安全性や信頼性を前提にした地道な判断が積み重なっていることを改めて実感しました。
Lバルブの方が「使いやすい」と思っていた私自身も、このやり取りでかなり認識が深まりました。
さいごに
小さな部品でも、その背後にはたくさんの思考と判断がある。
こうした「なんとなく使っているけど、よく考えると理由がわからないこと」を明らかにしていくのは、とてもおもしろい作業です。
今回の話も、SAP2000から派生した超小型モデル開発というプロジェクトの中から生まれた“気付き”です。
これからも、こういった現場の裏話や技術の背景を社内報no+eで少しずつ共有していけたらと思います。
