■ 2005年6月9日、創業の年の空気
2005年当時、私は家業に携わりながら、カスタムジャパンの創業に向けた準備を進めていました。
あの頃の新聞を開くと、20年前の空気感や社会の熱量が鮮明によみがえります。
2005年6月9日付の日経新聞には、そんな時代の「温度」が確かに刻まれていました。
日経平均株価:11,284円
為替:1ドル=約108円
長期金利:1.3%前後
原油価格:WTIでおよそ60ドル
注目企業:フジテレビが410億円の特別配当、東芝が「Qosmio」を全面広告で展開
話題の中心:日本代表がW杯出場決定、街中に熱気があふれていました
当時の広告には、「静止画が動く」「PCでスポーツ観戦が可能に」といった言葉が並び、デジタルの入口に立っていた時代背景が感じられました。
■ 2025年の現在地と変化した世界
20年が経ち、市場も、広告も、経済も、私たち自身も大きく姿を変えました。
日経平均株価:約38,500円(3倍以上)
為替:1ドル=155円前後(円安進行)
長期金利:1.1%前後
原油価格:WTIで70〜75ドル水準
注目企業:生成AI・デジタルツイン・宇宙通信など新産業が主役
広告の役割も大きく変化しました。
2005年の新聞広告は、紙面一面を大胆に使った商品訴求が中心でした。
TOSHIBA「Qosmio」:動画再生ができるノートPCの訴求
→ 「映像が滑らかに動く」「PCでサッカーが観られる」ことが広告の目玉。現在では当たり前すぎて訴求価値にならない内容が、当時は最先端でした。
焼酎「白岳しろ」:詩的な表現と静謐な写真で構成
→ プロダクト訴求よりも「季節や情緒」を伝えるブランディング重視型。
これらの広告から見えてくるのは、消費者の価値観が「機能的価値」や「所有」に寄っていた時代性です。
2025年の現在とは、根本的に広告の「届け方」と「受け手の感受性」が変わっています。
商品を「知らせる」ことが目的だった紙媒体から、いまやSNSや動画で「共感と体験」を届ける時代へと移行しました。私たち自身も、SNS・生成AI・D2Cによる広告運用を日常的に実施しています。
■ 日本経済の構造変化と私たちの立ち位置
2005年当時、日本経済は「モノづくり立国」としての地位を保ちつつも、バブル崩壊後の長期低迷から脱却しきれていない状況にありました。国内産業はデフレ圧力の中で再編が進み、中国・ASEANは「安価な生産拠点」「コストダウンの外注先」として認識されていた時代です。
当時の為替は1ドル=108円前後。円高が日本製品の輸出競争力を削ぐ一方、海外調達コストを抑える効果がありました。企業は内需回復よりも「海外で作って国内で売る」か「海外で作って海外に売る」流れに乗り遅れまいとする段階にありました。
それから20年。
現在の為替は1ドル=155円前後。円安が進行し、輸入物価上昇・仕入原価高騰といった課題に直面する一方で、日本の中小企業が海外に売るという市場ではチャンスも広がっていると感じています。
中国はすでに「世界の工場」から「世界の競争者」へと進化し、技術・ブランド力・物流スキームにおいて日本と対等、あるいは優位に立つ場面も増えました。アジア諸国も、単なる労働供給地ではなく、EC・決済・即納物流の最前線となりつつあります。物流ハブとしての中国はもちろん、東南アジアの成長は、かつての「コスト削減」視点では語れない存在感です。
こうした構造変化の中で、私たちカスタムジャパンが取り続けてきたのは、構造の変化を自社の変化で先取りするという姿勢です。
現在の私たちは、単なる「EC、卸、小売、販売会社」ではありません。以下のような多層的な構造を持つ事業体へと進化しています:
●自社ブランド商品の企画・開発
●海外メーカーとの共同開発・戦略提携
●データドリブンな販売戦略と在庫最適化
●デジタル系商品の企画・マーケティング
●海外拠点を活用したマーケティングと商品開発
創業当初、私たちは「商品をどう仕入れるか」「どう売るか」に集中していました。
しかしいまでは、「どの市場とどのタイミングで接続するか」「どの業界構造のどこに自社が位置取るか」を戦略的に設計し、実行できる組織を意識しています。
■ 変わったもの、変わらなかったもの
この20年で、私たちを取り巻く環境は劇的に変化しました。
●変わったもの
「買う」行為の意味:単なる調達から、体験・共感・思想の共有へ
競合の構造:近所の部品屋から、越境ECや海外スタートアップまで拡張
働き方と採用の基準:経験重視から、個の特性や価値観の適応力へ
情報の流れ:紙のカタログやTVから、X・YouTube・自社メディア中心へ
かつての「伝える」広告は、「つながる」コミュニケーションへと進化し、
マーケットも単一市場から地球全体のニッチへと拡散しました。
●変わらなかったもの
現場のリアルと、お客様の声に耳を傾ける姿勢
商売の本質=信頼と継続。三方よしの原則
小さな一歩を重ねる“積み上げる力”
「ノル人をツクる」という根本理念
(原点は“流通をカスタムする”でしたが、本質は変わっていません)
変化に流されるのではなく、変化に応じて、自らを更新しながらも、
「核となる思想」は守り続ける。それが私たちの軸です。
■ 社員の皆さんへ
創業から20年。
私たちは、何度も立ち止まり、振り返り、進み方を修正しながら歩んできました。
事業モデルの再構築、新規事業への挑戦、海外との連携、新しい技術(デジタル、仕組)の導入。
どれも一筋縄ではいきませんが、その都度、皆さんの力で道を切り開いてきました。
今後の10年は、生成AI・Web3・自律移動社会など、さらに根本的な転換が進むでしょう。
特に、EVやマイクロモビリティを巡る産業構造の再編は、私たちの事業とも直結する大きな波です。
そうした変化の中でも、「ツクる」「ノル」「届ける」ことの意味と責任は変わりません。
私たちには、次の世代に誇れる仕事を世世代々に残す使命があります。
■ 終わりに
2005年6月9日。あの日の日経新聞を開いたとき、
そこには「未来を信じる空気」と、素朴ながらも確かな希望がありました。
私たちは、あのときの熱を忘れず、時代に応じて形を変えながら、
想いをかたちに変え、かたちを未来につなぐ仕事を続けてまいります。
これからも、カスタムジャパンは #ノル人をツクる 会社として走り続けます。






